デジタル画像の単位について[dpi、ppi、lpiの関係]

このエントリーは、以前のブログで2005年に書いたものを移植。いまだにGoogle経由で来る方が多いので。。。最近は Kindle や iPad などのタブレットが画面の解像力を「ppi」で表したりするので、よけい分かりにくくなってきている気がします。

言葉の定義なので、「ppi」でも「dpi」でもどっちでも良いとは思うのですが、ユーザーの混乱を招くような曖昧な用語法は、あまりよろしく無いと思うのですがね。

なお、スマホやタブレットで言われている「ppi」は、下記の「画像解像度」の単位では無いです。これはこれで新たな問題を起こしているので、そのうちに改めて書く予定。

【追記】スマホの画面関連の ppi については device Pixel Ratio と ppi、dpi の関係 に書いたので、お時間のある方はどうぞ。

言葉の定義はともかく、それぞれの数字が物理的な解像力の事を言っているのか、仮想(バーチャル=事実上)の解像力の事を言っているのか、を受け止める側がきちんと理解していれば良い話ではあります。

以下、転載。


天下のアサヒカメラですらちゃんと説明していないようなので、デジタル画像をプリント素材として扱う際に使用する単位について簡単に解説。

「印刷の分野でよく使われる(©アサヒカメラ)」解像度を表す単位には大きく分けて3つある。

  1. dpi [dots per inch]:入出力機器の解像度を表わす
    「ディーピーアイ」は主にデジタルの入出力機がデータをデジアナ変換する時の細かさとして使われる単位。スキャナーなら1インチあたり何ドットまで解像してpixelを生成するか、プリンターならどこまで細かく最小単位のドットを打てるかを表す単位。スキャナーの場合のみ、dpi と 次の ppi の値が一致する場合がある。
  2. ppi [pixels per inch]:画像解像度を表わす
    「ピーピーアイ」はデジタル画像を物理的に出力する時に参照する定義値。画像ファイルのヘッダーなどに記述されている値。画像データを出力する時に、1インチあたりに何 pixel をあてがうかを決める単位。ただの数値。Photoshop 等で画像解像度と言うのはこれの事。Photoshop を持っている人は画像解像度などのダイアログボックスを良く見て欲しい。dpi とはどこにも書かれていない、ppi だ。dpi と ppi は全く別物だけどこの二つの区別がついていない人が多い。アサヒカメラの小冊子のライターさんもその1人(^^; まぁ、名前なので ppi を dpi と呼んでも間違いではないけど、コンセプトが違う事を理解して使わないと混乱するのだ。
  3. lpi [lines per inch]:スクリーン線数を表わす
    「エルピーアイ」という単位が商業印刷(DTP)の分野では長く使われきた(スクリーン線数と言う方が一般的)。雑誌やカタログ等の商業印刷物で、網点を1インチあたりに何個作るかという単位。この手の印刷物は130~150lpi程度で印刷するのが標準的。チラシや大判ポスターはもっと荒く、写真集などではもっと細かくする事もある。なぜ Line かと言えば、昔アナログ方式で階調を網点に分解していた時に、フィルムに網(スクリーン)を載せて階調を分解していたのだけれど、その時に網の目の細かさを1インチあたりの line 数で数えた名残。元々がアメリカから輸入した技術なのでインチが使われる。

さて、このライターさんが勘違いしたのは、「商業印刷の原稿では300ppi以上の画像解像度を持つデータを求められる」という殆ど定説となっているデジタル画像原稿の入稿ルールの意味を理解していないからだろうと思う。300~350というのは、この画像解像度の値であって、出力解像度の値ではないのだ。


平均的な商業印刷物は1インチあたり130~150個くらいの密度の網点(Screen)で絵柄を表示している。なぜ平均的と書くかというと、印刷にも色々な方式があって例外もあるから。ここは、平版印刷の事を指している。オフセット印刷とも言う。印刷の版から一旦ゴムローラーに絵柄を転写してから紙に画像を転写するのでオフセット方式と言われる。版の上に僅かな凹凸があり、凸部分にインクが乗り、凹部分に水がついている。水と油の反発を利用して画像をつくる。凸部分は樹脂製で油と親和性が高く、凹部分は水と親和性が高い作りの金属素材で出来ている。これだと2値しか階調表現が出来ないので、凸部分に細かい網点が生成されていて、この網点の大きさ階調を表現している。他の印刷方式に比べると凹凸の度合いが非常に小さいので平版方式と言う。

exp_screen

網点1個の大きさは約 1/150 ~ 1/130 インチ。通常 CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色で印刷する。

この網点が等間隔に並んでいて、網点の大きさ(面積比)で階調を表現する。くどくなるけど、網点の大きさで階調を表現している所がこの方式の特徴。網点が大きくなると濃度が濃くなり(=カラーなら色が濃くなり)、小さくなると下の紙の色が出てくるので明るく(白く)なる。

この網点の事を業界人は「ドット」とは言わない。あくまで網点。なので、印刷物の解像度を dpi とは言わない。でも、素人目に見れば網点もドットなので、dpi だと思ってもあながち間違いではない。それであれば、印刷の解像度は 130~150 dpi という事になるが、それはそれでちょっと違うのだ。

問題なのは、インクジェットプリンターのドットの生成方法とオフセット印刷の網点の生成方法&&画像の再現方法が全く異なる事なのだ。それを混同するからわからなくなる。


pixel はデータ上の架空の点で、実態が無い。

exp_pixel

画像処理ソフトで拡大すると、最後にこういう四角いのが見えるはず。この1個の四角が pixel。pixel は PICture ELement からの造語(だれが創ったのかは知らない)。画像解像度(ppi)はこの四角い画素を1インチに何個並べて出力したいのかを指定しているの事だ。画像解像度を上げてもその定義値が変わるだけで画像自体は何も変わらない。画像解像度がデータとして意味を持つのは、レイアウトソフトなどにデータを貼り付ける時にどのくらいのサイズとして扱うかを決める場合と、プリンターで出力する時にここから計算して出力物の大きさを決める場合くらいだ。

ちなみに Exif 情報では、

X Resolution: 300 Pixels/Inch
Y Resolution: 300 Pixels/Inch

というように縦横別に書かれている。

PCの画面も一種の出力機だけれど、画面の出力解像度はハード側で決められてしまう。画面の出力解像度は「ディスプレイの表示画素数÷ディスプレイの実際の大きさ(インチ)」で求められる。デジタル画像を画面で見る時は強制的に「画像の画素数÷ディスプレイの出力解像度」のサイズで見ている事になる。この場合、ファイルに設定された画像解像度は無視される。


印刷物の出力する時の網点の並ぶ間隔=網点の大きさは 1/130~150 インチ。このとき、pixel の四角を再現しないようにする=ジャギーを見えなくするには、pixelを印刷の網点の間隔より小さくすれば良い。その値は印刷のスクリーン線数 130~150lpi のルート2倍以上とされている(色々理屈を言う人もいるけど、実際は殆ど経験則)。つまり約1.5倍の画像解像度(150lpi×1.5=)225ppi 以上にしてやればジャギーは目立たなくなる。ただ、1.5倍では絵柄によってまだ目に付く場合もあり、安全なのは lpi の2倍以上と言われてきた。だから商業印刷で必要な画像解像度は 300ppi 以上なのだ。

言葉だけでは解りにくいと思ったので、簡単な概念図を描いてみた。

lpi-1

上の緑の角丸四角が網点とする。実際の網点は歪んだ丸のような形をしている事が多いが、分かりやすくこんな図にした。

この網点が150lpiだとすると、網点の大きさは 1/150 インチになる。

lpi-6

300ppiの四角いデジタル画素(Pixel)は 1/300 インチの大きさになるので、網点と比べると上の図の赤い四角の大きさになる。網点より小さいので、デジタル画素(Pixel)の四角い形は再現されない(ジャギらない)。

また網点=印刷の解像度を超えているので、これ以上画像解像度(画素の密度)を上げても、画質の向上度合いは徐々に減少していく。

lpi-7

210ppiの四角いデジタル画素は 1/210 インチの大きさ(150lpiの約ルート2倍の解像度)になるので、網点と比べると大凡上の図の大きさになる。網点より小さいのでほぼジャギらないが、直線部分が多かったり、絵柄の角度によってはジャギる事もある。

D2X様の画像は 4288×2848 Pixels なので、(4288÷300×25.4=)363mm×(2848÷300×25.4=)241mm まではそのままで行ける。それ以上になるとジャギーが見える可能性が出てくる。え?そんなもの?と思われるかもしれないけど、そんなものなのだ。あくまでジャギーを見せないだけの話なので、もっと大きく使いたい時は画像データを拡大リサイズすれば良い。200%くらいは殆ど問題ない。

ポスターのようにもっと大きく引き伸ばすような場合は、スクリーン線数を落とす事が多い or 少しくらいジャギーが見えてもかまわない場合が多い。B全ポスターなどは間近で見るものではなく遠くから見るものだからスクリーン線数(lpi)を落とす事が多いので、必要とされる画像解像度も下がるのだ。例えば 80lpi であれば画像解像度は 160ppi あれば十分。120ppi でも良いかもしれない。120ppi なら 907×602mm までリサイズ不要になる。A全(841×694)は余裕、B全だって問題なしなのだ。

普通フィルムではB全ポスター用には中判以上を使う。スポーツのように35mmでないと撮れないようなものは例外だけれど、製品写真のように高品質を求められるもので35mmはまず使われなかった。それもこれから変わるかも?恐るべしD2X様。


今やインクジェットプリンターの出力解像度は 1000dpi を越えているのが普通だ。この出力解像度は、インクジェットの最小点を出力する解像度を指している(注:インクジェットの画像生成方式は印刷ほど詳しくないっす(笑))。インクジェットはこの極小の点を打ち込む数(密度)で濃度(階調)を表現している。

exp_inkjet

極小の点(ドット)は1200dpi程度のフラットベッドスキャナーでは解像しないので見えない。そのドットが集まった塊がボンヤリと見えるだけ。点の間隔はオフセット印刷のように固定ピッチではなさそうなので、たぶん印刷での網点生成方式で言うと「FM(Frequency Modulation:周波数変調)スクリーン」と言われる方式に近いと思う。濃度の高い所はドットが沢山打ち込まれていて、濃度の低い所は間隔も広がってまばら(低密度)になる。この方式では最小ドットの解像度しか像を生成する上での数値基準が無いので、1440dpi というような表示になる。

対してオフセット印刷では網点の大きさで濃度を表現するので、その網点の大きさの逆数(lpi)が解像度の基準となっている。しかし、印刷版の網点もまた点の集合体なのだ。その網点を出力機が生成する最小点の事を印刷/DTP業界ではドットと呼ぶ。

網点を構成するドットの出力解像度はスクリーン線数の16倍以上になる。なぜかといえば、現在の画像データは8bit(256階調)なので、256階調を網点の大きさ(面積比)として表現するには網点を縦横16分割したサイズのドットを打ち分ける解像力が必要とされるからだ。16×16 = 256 なので、縦横 16 に区切った升目を埋めていくようなイメージを想像するとわかり易い(実際の処理はそんなに単純では無いが)。

lpi-3

上の図のようなイメージを思い描くと分かり易い。上の小さなマス目を打ち分けるのが印刷用出力機の出力解像力なのだ。

なので、150lpi の網点を生成する出力機は 150×16 = 2400dpi 以上の出力解像度が必要になる。インクジェットの最小点を生成するドットの出力解像度と比較されるべきなのはこの網点を構成する最小点(ドット)の出力解像度なのだ(強いて言えば)。1440dpi 対 2400dpi では商業印刷で必要とされる出力解像度の方が高い事が判るでしょ?

でも、ややこしい事に、最小ドットを打つ出力解像度と「画像データに求められる画像解像度」とは直接関係ないのだ。インクジェットプリンターとオフセット印刷機ではそもそも画像の階調の再現方法が根本的に異なるので、「最小ドット生成に関する出力解像度」を比較しても、意味が無いのだ。

元々オフセット印刷は、網点を使用する印刷方式であるがゆえに、ジャギーを出さないために高い画像解像度が必要だったのだ。その制約が無いインクジェットでは、画像解像度は 200ppiもあれば、通常は十分だ。勿論画像解像度を上げるとそれなりに画質も向上するけれど、200ppi までの向上の仕方に比べると緩やかになる。なので、効率を考えると 200ppi くらいで十分。ただし、プリンターの出力解像度がさらに上がった場合は多分必要とされる画像解像度も上がるはず。基準をpixelを解像してジャギーが出るか否かにおいている限りは、そうなるはずだ。

なお、インクジェットプリンターに似たオフセット印刷用の網点生成方式としてFMスクリーンというのがある。通常の固定ピッチで網点を生成する方式はCCDなどと同じでモアレを発生させることがあるので、その打開策として開発された。しかし、デザイン上でフラットな色が敷いてあるような場所(画像以外の色付き文字や面)でザラツキ感が出るという欠点があるために普及していない。


現在ある画像の出力方式の中では、

  1. 高い画像解像度を必要とせず、
  2. 出力時はそこそこの出力解像度を持っているので鑑賞に堪え、
  3. 顔料インクを使えば保存性も高まる

という条件を満たしているエプソンの顔料系インクジェットプリンターが個人用としては一番だと思っている。でも、現行製品の画質はまだ練れていなういような気がして、ちょっと手を出せないでいた。今度出た MAXART PX-5500 の画質をチェックしてみたいなぁ(笑)。

染料系インクジェットは色が褪せたらまた出せば良いやという極個人用途には向いているけれど、人に手渡すような使い方には向かない。もっとも顔料系だって耐退色性が完璧な訳ではない。印刷インクも顔料だけれど、日に当てればやはり退色するのだ。

なかなか全部の環境を整えるのは大変だけれど、個人でもやろうと思えば出来てしまうのが凄いのだ(笑)。精進の日々は続くのであった。マル。


追記

カタログ類の高品質印刷では通常 175lpi程度のハーフトーンセルを使います。新聞のカラー写真は100lpi程度。なので、必要とされる画像解像度は夫々異なる。縮小による画像劣化もあるので、最終的に必要とされる画素数に応じて撮り分けるのがベスト。ただし、RAWからの縮小はJPEGからの縮小よりずっと耐性が高い。

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